書評ブログ

『未来の呪縛 日本は人口減から脱出できるか』

「戦後の年間出生数の推移を確認すると、明らかに不自然な点が見つかる。団塊の世代を生んだ “ ベビーブーム ” がわずか3年でおわっているのだ。」と指摘し、「なぜ、日本の少子化はここまで深刻な状況になってしまったのであろうか。」と問いかけている本があります。

 

 

本日紹介するのは、作家・ジャーナリストで、産経新聞論説委員高知大学客員教授河合雅司さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

河合雅司『未来の呪縛 日本は人口減から脱出できるか』(中公新書ラクレ)

 

 

この本は、日本の少子化が止まらない理由を、戦後のベビーブームがたった3年で終了し、産児制限家族計画という形で人口減少が急激に進むことになった歴史的な時代背景を指摘し、分析している書です。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.「少子化」の罠にはまった時代

 

2.「少なく産んで大事に」を妄信した時代

 

3.自ら「少子化」という墓穴を掘った時代

 

4.“ 未来の崖 ” に混迷する時代

 

5.少子化から脱却するための処方箋-「少子化対策」10の提言

 

 

上記の1~4については「少子化の呪縛」として、戦後日本が人口急増した時代から、いかにして人口が減少する局面に至ったかを、歴史的に検証しています。

 

 

 

この本の冒頭で著者は、世界の50年後の人口予測を比較すると、同じ先進国でも人口が減少する国と増加する国に分かれる、と指摘しています。

 

 

2010年の人口を100%とすると、減少するのは、韓国・ドイツ・日本のみで、それぞれ89.9%、79.1%、67.7%で、日本の減少幅が最も大きくなります。

 

 

逆に、増える国オーストラリア163.1%、アメリカ142.1%、イギリス131.4%、フランス116.8%、イタリア102.8%となっています。

 

 

 

日本がここまで少子化が進み、人口減少が加速してしまうのは、以下のような戦後の人口政策や時代背景があったからだ、と著者は指摘しています。

 

 

◆ 「人口戦」という武器なき日米戦

 

◆ 産児制限の思想導入

 

◆ 中絶を可能にする優生保護法

 

◆ 「家制度」の解体と「結婚しない自由」「出産しない自由」という権利

 

◆ 産児制限から家族計画へ

 

 

◆ 1970年代『成長の限界』による世界の食糧問題

 

◆ 人工妊娠中絶の激増

 

◆ 戦前・戦中の「産めよ殖やせよ」への忌避感と「少なく生んで大事に育てる」へ

 

◆ 1970年代の「子どもは二人まで」という国民的合意

 

◆ 政治家・官僚の無理解で遅れた「少子化対策」

 

 

 

こうした歴史的な背景の中で、合計特殊出生率が1975年に「2」を割っても、1989年に丙午(1966年)の「1.58」を下回る「1.57」になっても、有効な少子化対策が打たれることはなかった、と著者は言います。

 

 

 

本書の最後では、「少子化から脱却する処方箋」として、次の10の提言著者の私論ととして紹介しています。

 

 

1.高校同級生ボランティアチームの結成

 

2.お見合いの普及

 

3.「未来の人生年表」をつくる

 

4.20代対象の「母親応援手当」の創設

 

5.第3子以上に1000万円給付

 

 

6.「父親休暇」制度の導入

 

7.子育て世帯の全国転勤凍結

 

8.「全母親支援センター」の全国展開

 

9.「育児保険」の新設

 

10.ゼロ歳に選挙の投票減を付与

 

 

 

いずれの提言も、今の政治家や官僚に任せていては決して実現できそうもないものばかりと思わざるを得ませんが、もし実現したら即効性があるのではと期待させる内容です。

 

 

とくに、5番目の「第3子以上に1000万円給付」のような分かりやすく、思い切った政策は効果があるでしょう。

 

 

また、選挙が政策を変えるという観点からは、子どもを持った親に子どもの分の投票権を付与するという最後の提言も、政策を変えさせる効果があるかも知れません。

 

 

いずれにしても、ここまで急激に少子化が進み、人口が急減することが確定してしまっている日本において、その流れを止めて人口再上昇へ転換させるには、多くの少子化対策を複合的に導入する必要があるでしょう。

 

 

著者の河合雅司さんの前著『未来の年表』(講談社現代新書)も併せて読まれると、さらに理解が深まるでしょう。

 

 

 

あなたも本書を読んで、「日本は人口減から脱却できるか」を真剣に考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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