書評ブログ

『恐怖の地政学 地図と地形でわかる戦争・紛争の構図』

「地形は、そこに暮らす人々に影響を与えてきた。地形は権力争い、戦争、政治情勢とも、そしていまや地球上のほぼすべての土地に存在する人間の社会的発展とも無縁ではない。」と指摘している本があります。

 

 

本日紹介するのは、アフガニスタン侵攻、アラブの春の反政府騒乱、アメリカ大統領選挙など、ヨーロッパ、アフリカ、中東、北米などの国際情勢を最前線で取材してきた、英国のジャーナリストブロードキャスターT・マーシャルが書いた、こちらの書籍です。

 

 

T・マーシャル『恐怖の地政学 地図と地形でわかる戦争・紛争の構図』(さくら舎)

 

 

この本は、経済的、社会的、人口学的変化が、どれも科学技術のめざましい進歩と関連して、過去の時代と現在の時代とを区別する「尋常ではないほどの予測の難しさ」をもたらしている中で、「地政学」の解説が成長産業になってきたことを指摘し、変化の要因分析将来変化の予測を、地政学の立場から試みたものです。

 

 

 

本書は、世界の地域ごとに分けた、以下の10部構成から成っています。

 

 

1.中国-自然の巨大要塞と14億の巨大不安

 

2.ロシア-果てしない大地と凍り続ける港

 

3.日本と朝鮮半島-侵略されたことのない国と虚勢を張る弱虫

 

4.アメリア-地形によって運命づけられた史上最強の国

 

5.西ヨーロッパ-位置と地形に恵まれた楽園を脅かすほころび

 

 

6.アフリカ-天然資源と人為的国境に苦しめられてきた人類の生誕地

 

7.中東-引かれたばかりの脆い国境線と血にまみれた道のり

 

8.インドとパキスタン-3000キロにおよぶ国境線と永遠に続く敵意

 

9.ラテンアメリカ-北アメリカと対照的な地形の不運

 

10.北極圏-新たな戦場となるか、強欲に打ち勝てるのか

 

 

 

この本では、地形というもっとも基礎的な条件によって政治情勢が決定づけられることを、もっとも重要な大国と地域に注目して分析しています。

 

 

ある国の地形が世界の他の地域との物理的、文化的なつながりを形成したかというテーマは、一つひとつが一冊の本になるような重要な示唆を与えてくれるものです。

 

 

まず最初の「中国」では、世界で通用する海軍がなければ大国の力も制限されることが読み取れます。

 

 

次の「ロシア」では、北極圏の影響に注目して、その凍てつく気候が足かせになってロシアが真の世界大国にのし上がれない状況を分析しています。

 

 

さらに「アメリカ」では、重要拠点で領土を広げるという抜け目のない決断のおかげで、アメリカがふたつの大洋を制する超大国という、現在の姿に到達したさまが描かれています。

 

 

本書の中盤にある「ヨーロッパ」の章では、土地同士をつないで現代世界に直結する文化を生むためには、平地と船が航行できる河川が欠かせない、と教えてくれます。

 

 

一方、続く「アフリカ」は、地理的に孤立している場所の典型例として描かれています。そして、「中東」は、地形やそれと同様に重要な地理学上の文化を無視して地図上に線を引くことがなぜトラブルの原因になるかが検証されています。

 

 

こうした「国境線の引き方」の矛盾については、「アフリカ」や、次の「インド・パキスタン」でも見られ、今後もその議論や争いは続くでしょう。

 

 

また「ラテンアメリカ」も特異な存在で、南部は下界と隔絶され、世界を相手にした交易が難しく、内陸部地形が原因でヨーロッパのような効果的な貿易圏を作ることができなかった、と説明されています。

 

 

最後の「北極圏」は、地上でもっとも居住に適さない場所として取り上げられていますが、20世紀にエネルギー資源が発見されたため、これを誰が手に入れて誰が売るのかが、今後の大きな注目点になっています。

 

 

 

この本の最後には、宇宙空間についての考察も記されていますが、わたしたちが星に到達するとき、その先に待ち構える困難は、人類が一致団結しなければ乗り越えられないたぐいのものだ、と著者は言います。

 

 

この先も天然資源をめぐる各国の競争などが続くと見られますが、宇宙という、更に広い視野に立った時には、人類全体が協力して課題の解決に取り組まねばならないでしょう。

 

 

あなたも本書を読んで、地図と地形で分かる「地政学」および戦争・紛争の構図について、見識を深めてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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