『ヒルビリーエレジー ~ アメリカの繁栄から取り残された白人たち』

2017.10.03 (火)

大学を卒業せずに、労働者階層の一員として働く白人アメリカ人は、「ヒルビリー(田舎者)」「レッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)」「ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)」と呼ばれています。彼らと同じ境遇に育った著者が、多くの同じ境遇の人たちには実現できない、ごく普通の生活を送るようになった軌跡を描いた本があります。

 

 

本日紹介するのは、「ラスト・ベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる地域のオハイオ州ミドルタウンおよび、ケンタッキー州ジャクソンで育ち、現在はシリコンバレー投資会社の社長を務める、J.D.ヴァンスさんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

J.D.ヴァンス『ヒルビリーエレジー  ~ アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(光文社)

 

 

この本は、鉄鋼業の町で貧しい子供時代を送り、将来に望みのない子どものひとりとして高校では落第しかけ、住んでいた町では誰もが抱く、怒りやいらだちに屈しかけた著者が、いまの職業に就いた人生の物語を記したものです。

 

 

 

本書は以下の15部構成から成っています。

 

 

1.アパラチア-貧困という故郷

 

2.中流に移住したヒルビリーたち

 

3.追いかけてくる貧困、壊れはじめた家族

 

4.スラム化する郊外

 

5.家族の中の、果てのない諍い

 

 

6.次々と変わる父親たち

 

7.支えてくれた祖父の死

 

8.狼に育てられる子どもたち

 

9.私を変えた祖母との3年間

 

10.海兵隊での日々

 

 

11.白人労働者がオバマを嫌う理由

 

12.イェール大学ロースクールの変わり種

 

13.裕福な人々は何を持っているのか?

 

14.自分のなかの怪物との闘い

 

15.何がヒルビリーを救うのか?

 

 

 

この本は、著者の人生の偽りのない物語で、次のようなこ事実や実態を読者に知ってほしくて書かれました。

 

 

◆ 自分自身に見切りをつけようとしたときに、どう感じるか、なぜそうせざるを得ないのか

 

◆ 貧しい人たちの生活がどのようなものなのか

 

◆ 精神的・物質的貧困が子どもたちの心理にどれだけ影響を及ぼすのか

 

◆ 著者と家族が経験したアメリカン・ドリームがどんなものだったか

 

◆ 社会的な地位が上がったときに人間はどのように感じるのか

 

 

◆ アメリカンドリームを生きる幸運に恵まれた人はつねに不安に追い立てられていること

 

◆ 人生の背景に「民族」という要素がひそんでいること

 

◆ 「民族意識」がコインの片面とすると、「地理的環境」はもう片面

 

◆ 白人労働者階層は、ラテン系移住者や黒人よりも人生に悲観的

 

◆ ヒルビリーは、かつてないほど社会的に孤立し、その状態を次世代に引き継ごうとしている

 

 

 

また、著者たちヒルビリー(白人労働者階層)のコミュニティーの現状について語られるときに、以下のように言われる、ということです。

 

 

「白人労働者の先行きは暗くなる一方だ。だが、きみは卵よりもニワトリが先に生まれると考えているのではないか。彼らのなかで離婚する者が増え、結婚する者が減り、彼らが幸福を感じられなくなっているのは、経済的機会がないからだ。仕事に就くチャンスがありさえすれば、生活状態も改善されるはずだ。」

 

 

そしてこれは、少子高齢化非正規雇用の増加による貧困や格差拡大が進む現代の日本でも、全く同じように見られる現象です。

 

 

 

この本が、2016年のアメリカ大統領選挙で、トランプが予想を覆して勝利する前の予備選挙の頃から、静かに読み始められ、無名作家としては空前のベストセラーとなるほど、注目された理由は何でしょうか。

 

 

それこそが、これまで忘れ去られ、アメリカの繁栄から取り残されてきたヒルビリー(白人労働者階層)の思いや現実が赤裸々に記されていたからです。

 

 

そして、彼ら白人労働者階層こそが、今まで一度も選挙に行ったことがなかったにも関わらず、今回の大統領選ではトランプ候補の熱烈な支持者として、多くの票ををもたらし、番狂わせの大統領へと、トランプ候補を導いた原動力になったためです。

 

 

本書には、ヒリビリーがなぜ、オバマ大統領を嫌っていたかという興味深い分析も書かれています。マイノリティーとして、つねに差別の対象として注目されてきたヒスパニック系移民ラテン系移民黒人層は、差別解消の名目のもとに、政治的・制度的に優遇されてきました。

 

 

しかるに、白人労働者層は、同じように貧しいにも関わらず、「白人」というだけで逆に一切の優遇措置は無く、「ホワイト・トラッシュ」などと揶揄され、貧困が次世代に引き継がれ、他の差別民族よりも将来の人生に悲観的になっている、と著者は指摘しています。

 

 

アメリカ大統領選トランプ候補が訴えた「悪いのは君たちではない。イスラム教徒、移民、黒人、不正なシステムを作ったプロの政治家やメディアが悪い。」というメッセージは、ヒルビリー(白人労働者階層)が普段から家族や仲間うちで語っていたことと一致していて、ロックコンサートのような雰囲気で運営された集会で、熱狂的な支持を受けました。

 

 

常識と考えられていたことや、多くの予想に反して、劇的な変化を起こしてしまうアメリカのダイナミズムを、トランプ大統領の誕生を見て、改めて痛感していましたが、この本を読むと、その謎がきれいに解けていきます。

 

 

まさに本書のタイトル「ヒルビリー・エナジー(=田舎者の白人労働者階層の哀歌)」は、アメリカの変化の歴史を象徴的に記録する書として、長く人々の記憶に刻まれるのではないかと思います。

 

 

あなたもこの本を読んで、トランプ大統領誕生の原動力となった、アメリカ白人労働者階層の現実と思いに目を向けてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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