書評ブログ

『東大が考える100歳までの人生設計 ヘルシーエイジング 』

「ヘルシーエイジングとは、心身が衰えてきても、そこそこ元気に楽しく、自分らしく、自立的に暮らしていける、ほどほど健やかな歳のとり方をめざす考え方で、100歳までの人生設計の柱にすべきだ」と提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、東京大学高齢社会総合研究機構監修する、こちらの書籍です。

 

 

東京大学高齢社会総合研究機構『東大が考える100歳までの人生設計 ヘルシーエイジング 』(幻冬舎)

 

 

この本は、「100歳までの人生後半戦をどう生き抜くか」について、自由で自発的で自立的な生活を自分でデザインして楽しむことができるように、さまざまな専門家の知見を紹介・伝授してくれる書です。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.基礎理論編: ヘルシーエイジングのための基本原則

 

2.健康編: 食事・運動・休養

 

3.生活環境編: 住まいと身の回りの環境を整える

 

4.生きがい編: あそび・たのしみ・しごと・居場所

 

5.制度活用編: いざという時に備える

 

 

この本の冒頭で、『おひとりさまの老後』(法研)『男おひとりさま道』(法研)の著者、上野千鶴子さんの次の言葉を紹介しています。

 

 

「人生100年時代・・・人生のピークが来るとしたら、前半が上り坂、後半が下り坂。」(『男おひとりさま道』<法研>)

 

「昨日できたことが、今日はできなくなり、今日できたことが明日はできなくなる。・・・上りよりは、下りのほうがノウハウもスキルもいる。」(同上)

 

「自分が老化に直面しているのに、自分の現実の変化を否認して、今までのライフスタイルを続けるって、自滅シナリオじゃない。」(上野千鶴子・古市憲寿『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』<光文社>)

 

 

つまり、自分の近未来の変化(要するに老化)を直視し、変化に対応したライフスタイルをデザインして、それを実行することがポイント、と本書では指摘しています。

 

 

まず本書では「基礎理論編」として、WHO(世界保健機関)による「ヘルシーエイジング」の政策理念を説明しています。

 

 

歳をとっても、心身の弱体化を防ぎ、元気を維持していくためには、戦略的な生活のデザインが必要だと本書では提唱しています。

 

 

高齢者の自立的生活能力がどう低下していくのかは、以下の3つのパターンに分かれる、と本書では指摘しています。

 

 

◆ 生涯元気型(ピンピンコロリ型)

 

◆ ダラダラ下り型(主流の型)

 

◆ 早死型(がん or 脳血管障害が多い

 

 

要するに、病気や怪我による障害の発生を予防し、障害が発生したら、できるだけ回復をはかり、同時に障害を補う手段を講じる、というのが生涯元気型カーブをめざす基本戦略ということです。

 

 

日本の高齢者の死亡原因は、①がん、②心筋疾患、③肺炎、④脳血管障害、⑤老衰、⑥自殺、⑦事故、という順です。

 

 

そして、「要介護」になる3大要因以下の3つです。

 

 

1.運動機能障害(ロコモーティブシンドローム、略して「ロコモ」)

 

2.脳血管障害

 

3.認知症

 

 

まず最初の「ロコモ」になる原因は、①変形性膝関節症、②骨粗鬆症、③脊椎管狭窄症、④転倒・骨折、だそうです。

 

 

こうした関節障害や腰の痛みは、筋力低下によることが多く、鎮痛剤では治らず、食事療法や運動療法で痛みが取れることが多い、と言います。

 

 

大切なことは、60歳前後の元気なうちから「ロコモ」にならないよう予防することで、本書では適切な食事と、大腰筋・腸骨筋を鍛える、次の2つの運動トレーニングを薦めています。

 

 

◆ スクワット運動

 

◆ 上体起こし運動

 

 

詳しい運動のやり方は、図解入りで解説されているので、ぜひ本書を手に取ってお読みください。私自身の体験からも、とても理にかなった、万人に効果のある無理のない運動トレーニングだと思います。

 

 

「要介護」になる3大要因の2番目の「脳血管障害」については、高血糖症(糖尿病)、高脂血症、高血圧症、内臓脂肪過剰など、メタボリックシンドローム(通称「メタボ」)が原因だと言われています。

 

 

これらはいずれも「生活習慣病」と言われるもので、対策としては、「ロコモ対策」と同様に、適切な食事運動休養です。

 

 

3番目の「認知症」については、近年注目を集めていますが、以下の5つの型があると言われています。

 

 

1.アルツハイマー型認知症(脳神経に老廃物がたまる)

 

2.脳血管性認知症(脳の血管が詰まる)

 

3.上記1と2の混合型

 

4.レビー小体型認知症(脳の神経細胞に不要なたんぱく質がたまる)

 

5.前頭側頭型認知症(脳の前頭葉や側頭葉が委縮する)

 

 

上記2番目の「脳血管性認知症」は、脳血管の動脈硬化で、実は1番目の「アルツハイマー型認知症」も動脈硬化と深い関係があることが分かってきました。

 

 

つまり、認知症になるリスクを減らすには、動脈硬化を防ぐことがポイントで、「脳の血行を良くする」ことが大切です。

 

 

具体的な「認知症予防」としては、経験的に以下のようなことが効果的であると知られています。

 

 

◆ 運動しながら頭を使う(歩きながら頭の中で引き算をするなど)

 

◆ 脳に入る血流量を増やす、脳内の代謝を活発にする

 

◆ ふだんからよく歩く

 

◆ 人と話す、ゲームをする、歌う、踊る、楽器を弾く

 

◆ 日記を書く、脳トレパズルをする

 

◆ 歯の手入れをきちんとして、よく噛んで食べる

 

◆ 旅行は最も効果的

 

 

さらに本書では、「がん」という病気について、実に的確な解説をしています。詳細はここでは触れませんが、興味ある方はぜひ、本書をお読みください。私がこれまで読んできたすべての健康本から考えて導き出した結論とまったく同じ考え方です。

 

 

がんの正体は、「遺伝子の壊れた細胞」(=異常な細胞)なので、本来は「免疫機能」によって死滅するものですが、何らかの原因で免疫機能が低下したり、細胞の変異が特殊で免疫機能の隙をついて増殖する「がん」の転移が拡がる、ということです。

 

 

したがって、「がん」の予防や再発防止の王道は、体の免疫機能を正常に保つための、適切な食事、生活習慣、ストレス対応、安眠の確保(休養)ということになります。

 

 

以上、見てきたように、ヘルシーエイジングのための対策は、どれも共通していて、「食う・寝る・遊ぶ」(=適切な食事・安眠休息・心身の運動)という日々の正しい生活習慣ということでしょう。

 

 

 

この後、本書では「各論」という形で、ヘルシーエイジングのための具体的な留意点や、その根拠事例などについて詳しい解説が記されています。

 

 

詳細はぜひ、この本をお読みいただくとして、私がとくに感銘を受け、自らも実践していることについて、以下に紹介しておきます。

 

 

◆ 脂肪を増やすな、筋肉を減らすな

 

◆ バランスの取れた食事と腸内環境を整える

 

◆ 高齢者には「歯は命」、歯と口のケアを

 

◆ 朝の習慣、入浴、睡眠による十分な心身の休養を

 

◆ 「うつ」と「認知症」の予防は同じ

 

 

◆ 老化や独居に備えた住環境の整備

 

◆ 男子も厨房に入る

 

◆ 身だしなみを整える

 

◆ 買い物を楽しむ

 

◆ ICT環境を整える

 

 

◆ 第三の場所(サードプレイス)を持つ

 

◆ 街に出よう、旅に出よう

 

◆ 仲間をつくる

 

◆ 学びは一生

 

◆ 情報発信でコミュニケーションを続ける

 

 

◆ 生涯現役で稼ぎ続ける

 

◆ 年齢に応じて「働き方」を柔軟にシフトする

 

 

以上、最後の2つは本書に明確に書いてあるわけではありませんが、私なりに解釈して、自ら実践しようとしているものです。

 

 

あなたも本書を読んで、ぜひ「ヘルシーエイジング」をめざすライフスタイル、人生設計にチェンジしてみませんか。

 

 

 

2020年6月2日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第113回】東大が考える100歳までの人生設計「ヘルシーエイジング 」にて紹介しています。

 

 

 

 

 

私、大杉潤は、「まちの本屋」再生プロジェクトとして、クラウドファンディングにより、読書交流会トークショー・イベントを開催しています。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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