書評ブログ

H.J.マッキンダー『マッキンダーの地政学 デモクラシーの理想と現実』(原書房)

ハルフォード・ジョン・マッキンダー氏 (1861年-1947年)は、英オックスフォード大学で法律を学び、さらに地理学に転じた。オックスフォード大学地理学院の初代院長で、ロンドン大学経済学院院長などを歴任した。

 

また、1910年-1922年、英下院議員を務めていて、現代地政学の祖と呼ばれている。

 

本書は、国際関係を動態力学的に把握するマッキンダーによる地政学の名著だ。マッキンダー氏は、「東欧を制する者はハートランドを制し、ハートランドを制する者が世界島を制する」 と説く。

 

いわゆる 「ハートランド戦略論」 だが、その地政学は現代の地政学の基礎になっており、今でもまったく色褪せることはない。本書は以下の構成から成っている。

 

1.われわれの前途によせて
2.社会の大勢
3.船乗りの世界像
4.内陸の人間の世界像
5.さまざまな帝国の興亡
6.諸国民の自由
7.人類一般の自由

 

本書巻末の付録として、地理学から見た歴史の回転軸として、1904年1月 (日露戦争の勃発直前) に行われたマッキンダーの講演記録と、米国の雑誌 『フォーリン・アフェアーズ』 1943年7月号 に掲載されたマッキンダーの絶筆となった論文 「球形の世界と平和の勝利」 が収められている。

 

マッキンダーの 「ハートランド戦略論」 は地政学の原典として、今なお世界に影響を与え続けており、本書はぞの全貌が記されている貴重な書だ。

 

また、ライフネット生命の会長兼CEOの出口治明氏が著書 『本の「使い方」』 (角川ONEテーマ21)の中でも紹介し、絶賛している古典的書籍だ。

 

歴史に興味なない人でも、地政学的な考え方や戦略論が学べるビジネス原書として、本書の一読をぜひ薦めたい。