書評ブログ

『限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択』

「静かな大津波が日本へ向かっている。ドーンと人口が減る活力喪失の波は待ったなし、世界は固唾をのんでその行方を眺めている。」と指摘している本があります。

 

 

本日紹介するのは、兵庫県庁に勤務した後、公益財団法人日本国際交流センターに転じて、執行理事を務める毛受敏浩さんが書いた、こちらの新刊新書です。

 

 

毛受敏浩『限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択』(朝日新書)

 

 

この本は、「限界集落」ならぬ、「限界国家」になりつつある日本という国の存続にかかわる重大な「人口問題」に焦点を当てて、世界の他の先進国に倣って「移民政策」をきちんと確立すべきことを説いた書です。

 

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

 

1.人口減少で日本の風景は一変する

 

2.移民は「タブー」となぜ思うのか

 

3.移民受け入れの成功国・失敗国

 

4.つぎはぎの外国人受け入れ制度

 

5.日本に住む外国人の実像

 

6.迷走する政府の移民政策

 

7.「限界国家」脱出プラン

 

 

本書の冒頭で著者は、日本の人口が減り始めたのはまだ入り口で、「2020年代の10年間でストーンと620万人が減る」と指摘しています。

 

 

とくに東京にいると、地方からの人材流入や、アジアを中心とする外国人観光客の急増により、人口が減少することへの危機感が薄く、「情報不足」だということです。

 

 

さらに、2030年代の10年間は820万人の人口減少、2040年代は900万人、2050年代は910万人と、日本の人口減少はとどまるどころか、さらに加速していきます。

 

 

したがって、日本はすべての面で急速に縮小する。国の仕組みそのものが大きく変わることが予想されます。

 

 

例えば、すでに介護、農漁業、工業分野人手不足に陥っていますし、やがて4000万人が減って地方は消滅を迎え、若者はいい仕事を探して海外移民を目指すようになる、と本書は警鐘を鳴らしています。

 

 

そうした中で、解決策は「外国人移民の受け入れ」以外にない状況で、それはヨーロッパを初め、高齢化に悩む世界の先進国が証明してきています。

 

 

しかしながら、日本では以下のような理由で、移民が「タブー」とされてきました。

 

 

◆ 外国人犯罪が増える

 

◆ 日本人の労働力を活用すべき

 

◆ 日本人の職が奪われる

 

◆ 社会保障費が増える

 

◆ 人口減でも豊かな国は可能

 

◆ 生産性が上昇すれば大丈夫

 

 

これらはすべて誤解であり、アメリカでもヨーロッパでも、いろいろな試行錯誤はありながらも、移民の受け入れによって経済を活性化し、人口構成の歪みを修正してきました。

 

 

本書では、「自国民だけで人口を増やしている先進国はない」として、人口減少が止まらない日本こそ、「限界国家脱出プラン」として、今すぐに「移民受け入れ」を本格化すべき、としています。

 

 

 

そして、欧米先進国の移民政策が効果を出している事例として、次のような根拠を挙げています。

 

 

◆ 移民は、長期的には、労働者の専門化が起こり、新たな仕事の創出や賃金上昇につながる

 

◆ 移民は、自国民に比べてリスクを取って起業する意欲が高い

 

◆ アメリカでは、移民がIT産業をリードしている

 

◆ アップルのスティーブ・ジョブズ(シリア系移民2世)、ヤフーのジェリー・ヤン(台湾の移民1世)

 

◆ グーグルのセルゲイ・プリン(ロシア系移民1世)、アマゾンのジェフ・ベゾス(キューバ系移民2世)

 

 

◆ 横浜の中華街など、移民が集中して住む街は観光名所として集客力もある

 

◆ 移民が地域経済の労働力不足の担い手になる

 

◆ ドイツは移民のドイツ語能力強化により、移民ウェルカムの政策

 

◆ ヨーロッパは試行錯誤の結果、今は第4段階の「インターカルチュラル政策」(異文化間交流)

 

◆ カナダでは、州が独自の移民受け入れ政策

 

 

また本書では、「世界は日本の移民拒否を不思議がっている」として、海外からの声を紹介しています。

 

 

「人口減少という課題がありながら、移民受け入れという問題を先送りし続ける日本は、投資家から見ると安心できる国とは思えない」という声は衝撃です。

 

 

さらに「ニューヨークタイムズ」の2003年7月24日の記事では、「内向き日本、必要な移民政策に抵抗」というタイトルで、「日本の移民の受け入れの議論がどうなるかは、経済大国としてとどまるか、あるいは人口減少とともに没落するかを決定する」と断じています。

 

 

世界有数のビジネス誌「フォーチュン」でも、2014年11月20日の記事で、「移民は苦境に立ち消滅する日本を救えるか?」というタイトルで、日本の文化の異質性を指摘し、「どのような移民であっても拒否する深い文化的な拒否反応がある」としています。

 

 

さらに、「文化的な閉鎖性がどれだけ高い代償となるか、世界の他の先進国にとって警鐘となるだろう」と結んでいます。

 

 

以上のような日本の移民政策に対する世界の見方を紹介した上で、この本の最後では、定住外国人の貢献について、次の5つを挙げて説明しています。

 

 

1.異文化を日本に紹介

 

2.世界への情報発信

 

3.地域活力や経済の新たな担い手

 

4.地域経済の下支え

 

5.日本文化の担い手

 

 

あなたも本書を読んで、人口減少時代の日本の選択として、「移民」の是非について真剣に考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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