書評ブログ

『「エイジノミクス」で日本は甦る 高齢社会の成長戦略』

「高齢者向けイノベーション、すなわちエイジノミクスでGDPはまだ伸びる!」と提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、立正大学教授・東京大学名誉教授吉川洋さんと、経済同友会政策分析センター長、大阪大学名誉教授八田達夫さんが書いた、こちらの新刊新書です。

 

 

吉川洋・八田達夫『「エイジノミクス」で日本は甦る 高齢社会の成長戦略』(NHK出版新書)

 

 

この本のメインテーマ「エイジノミクス=(agenomics)」は、aging(高齢化)とeconomics(経済学)を合わせた造語ですが、「超高齢社会における成長の可能性を探る試み」のことです。

 

 

エイジノミクスが提唱するのは、日本の新しい経済成長モデルで、規制改革を適切に行っていけば、「超高齢化」先進国として、日本はこれからの世界を経済成長のモデル(手本)になることも可能だ、ということです。

 

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

 

1.経済成長の源泉は何か-イノベーションと規制改革

 

2.老いの期間を明るく過ごす-創薬とロボティクス

 

3.高齢者の能力を拡張する-人工知能と「モノのインターネット」

 

4.介護は減らせる-脱「要介護」で稼ぐケア市場

 

5.労働力を移動させる-誰もが働き続けられる社会

 

6.「高齢化イノベーション」で日本は甦る

 

 

この本の冒頭で著者は、2015年現在で1億2700万人日本の人口は、100年後の2115年には5055万人半分以下に減少すると予測されています。

 

 

総人口に占める高齢者の比率も、2015年は26.6%ですが、45年後の2060年には38.1%にまで上昇します。

 

 

これらは人口統計による予測なので、きわめて精度の高い予測で、ほぼ確実にこうした状況がいずれやってくる、ということです。

 

 

しかしながら、人口減少と高齢化をすべて悲観的に捉えることは正しい見方とは言えない、と著者は言います。

 

 

本書では、「高齢化時代もイノベーションが成長を生む」としていて、20世紀を代表する経済学者のシュンペーターが提唱したように、以下の5種類のイノベーションが起こり、ひとり当たりの所得は上昇する、と説明しています。

 

 

◆ 新しい商品の創出

 

◆ 新しい生産方法の開発

 

◆ 新しい市場の開拓

 

◆ 原材料の新しい供給源の獲得

 

◆ 新しい組織の実現

 

 

本書では、高齢者の中でも、「病弱な人」「健康な人」を分けて、それぞれ起こりつつある「財・サービスのイノベーション」と、「制度のイノベーション」を紹介しています。

 

 

この中でもとくに、団塊世代の高齢化により10年後には700万人に達する認知症予備軍に向けた創薬の開発イノベーションが期待されます。

 

 

また、グループホームを含めて3万件にのぼる介護施設において、介護ロボットの活用も大きな期待がかけられています。

 

 

さらに、遠隔医療サービスの規制緩和や、混合介護の解禁など、ぜひ早期に規制緩和を進めて欲しい領域がある、と著者は指摘しています。

 

 

次に健康な人に対しても、ライドシェアリングや、高齢者雇用の規制改革もすぐに進めるべきでしょう。

 

 

この本では、具体的なイノベーションの事例も豊富に紹介されていて、大きな期待を抱かせてくれますが、詳細は書きませんのでぜひ、本書をお読みください。少しだけ印象に残った事例の名称だけ以下に挙げておきます。

 

 

◆ ロボットスーツ「HAL」

 

◆ 医療用食事支援ロボット「ベスティック」

 

◆ 高度運転支援システム車「ガーディアン」

 

◆ コマツの「スマートコンストラクション」

 

◆ 世界初の汎用AI「日立AI・H」

 

 

このほか、本書の後半では、「料理ができる」、「買い物ができる」という、生活レベルでの具体的な行動を、IADL(Instrumental Activities Daily Living = 手段的日常生活動作)として、目標を設定して達成する意欲を持ってもらうことが大切だと指摘しています。

 

 

そのためには、「キョウイク」「キョウヨウ」が重要で、すなわち、「今日、行くところがある」「今日、用がある」という、「行き先」と「用事」があることが必要になるのです。

 

 

また、化粧をすれば出かける気になったり、ポールウォーキングという、二本のポールを持って歩くことの有効性も紹介しています。

 

 

この本の後半では、少子高齢社会に適したライフプランとして、「人生多毛作」などスウェーデンの事例や、お試し起業玉木樹さんが提唱する「兼業」と「兼居」のすすめなども紹介しています。

 

 

そして最後に、新たな家族像や、多様な働き方をこの本では紹介しています。とくに私が感銘を受けたのは、「引退しない人生」があたり前の社会になることを示す前川製作所の事例です。経営学者の野中郁次郎さんが監修する、こちらの書籍に詳しく掲載されています。

 

 

この本の締め括りとして著者は、高齢者が資産を減らしてまで消費することを妨げている要因として、将来、医療や介護にいくらかかるかわからないという「将来不安」がある、と指摘しています。

 

 

また、高齢者がぜひ買いたいと思うモノやサービスも見当たらない。エイジノミクスはこれらの問題を解決する糸口になる、というのが本書の結論です。

 

 

あなたも本書を読んで、高齢社会の成長戦略である「エイジノミクス」を正しく理解し、実践してみませんか。

 

 

私、大杉潤は、「まちの本屋」再生プロジェクトとして、クラウドファンディングにより、読書交流会トークショー・イベントを開催しています。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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