書評ブログ

ジェリー・ミンチントン『うまくいっている人の考え方』(ディスカヴァー携書)

ジェリー・ミンチントン氏は、アメリカの著述家で、多年にわたり経営者としてビジネスに携わるうちに 「人が自尊心を高め、自らの価値を確信することが、人生における成功や幸福に直結する」 ということに気付いた。

 

著者は心理学にも造詣が深く、自尊心に関する研究を行って、その後、数多くの著書がベストセラーとなり、日本でも数多くのファンを獲得している。

 

本書は、ミンチントンの代表的な著作で、自尊心を高める方法を100個、紹介している。訳者があとがきで述べているが、その中でもとくに重要なのが、「他人と比較しない」 ということだ。

 

著者によれば、それは、自分の価値は自分の個性にあるのだから、自分を他人と比較しても意味がないからだ。本書のテーマは 「自尊心をどう高めるか」 ということだ。

 

では、自尊心とは何か。簡単に言うと、それは自分を好きになり、他人と同じように自分も素晴らしい人生を創造するに値する人間だと信じる気持ちのことだ。

 

自尊心は人生のほとんどすべての局面に大きな影響を与える。たとえば、人間関係、自信の度合い、職業の選択、幸福、心の平和、成功。これらはすべて自尊心と密接な関係がある。

 

ミンチントン氏によれば、人が自尊心の欠如に苦しむのは、心の中に次の3つの信念が出来上がってしまうからだ、と言っている。

 

1.私は自分の人生を切り開くことができない弱虫だ
2.私は不完全な人間だ、みんなより劣っている
3.私は生まれつき欠点だらけの人間なんだ

 

自尊心を取り戻すのはそんなんにむずかしいことではない。自分に対する考え方を修正すればいいだけである。

 

それでは本書の構成を紹介しよう。本書は ①自分を好きになる、②よりよい考え方を選ぶ、の二部に分かれているが、以下の10部から成っている。

 

1.自分に寛大になる
2.自分を大切にする
3.自分を受け入れる
4.自分の価値を信じる
5.自分の人生を生きる

 

6.視点を変えてみる
7.自分と出会う、人と出会う
8.ポジティブに考える
9.ありのままの自分を見る
10.自分の手で人生を創り出す

 

本書は上記の構成の中で、自尊心を高める100の方法(すなわち、考え方)を紹介していて、すべて何度も読み込んで確認したい、素晴らしい教え、言葉ばかりだ。いくつかを記しておこう。

 

1.長所に意識を集中すれば、それはもっと伸びる
2.すべての失敗は、学ぶための絶好の機会である、そう考えることが賢明な態度だ
3.いつでも幸せな気分になれる
4.自分は、心から楽しめる仕事をするに値する人間だ
5.自分は今のままで完全に価値がある

 

6.自分のしたいことをするのがいちばん大切だ
7.自分は個性的な存在だ、だから他人と比較しても意味がない
8.自分の下す決断は、まちがっていることより正しいことの方がずっと多い
9.自分の健康は自分で責任を持って管理する
10.広い心で余裕を持って批判を受け入れたほうが自分の得になる

 

11.自分で決断することが、いちばん自分のためになる
12.能力や所有物は自分の価値とは関係ない、存在そのものに価値があるのだ
13.出来事をプラスに解釈する習慣は、自分にとって常にプラスとなる
14.自分の人生に責任を持てば自分の人生をより自由に創造できる
15.幸せになるのを未来まで待つ必要はない、今すでに幸せなのだ

 

ほかにも心に響く著者の言葉が数多く並んでいる。何度も読み返し、ひとつひとつを実践していくことがたいせつだ、とミンチントン氏は記している。まさにその通りだと私も思う。

 

自分の人生をしっかりと歩み、ぶれない生き方をしたい、すべての方々に本書をじっくりと読み込むことを薦めたい。