書評ブログ

高山信彦『経営学を「使える武器」にする』(新潮社)

この本は、経営学の「古典」と呼ばれる名著について、何をどのように読んだらよいかがわかる画期的な本だ。高山氏は企業向けのユニークな研修を請け負い、大きな実績を上げていることで有名な講師だ。

 

例えば、東レは中堅社員にこの研修を受けさせ、ユニクロ専担チームによる「ヒートテック」の共同開発を成し遂げ、空前の大ヒット商品を生み出した。長らく低成長部門だった東レの繊維事業部門を復活させた功績は大きい。ユニクロも「ヒートテック」の成功で成長を加速させた。

 

また、常石造船(現・ツネイシホールディングス)は何年もリピートで、高山氏を研修講師として招聘し、研修受講が、グループ各社の幹部候補の登竜門となっている。赤字部門を黒字転換させるなど、企業業績を向上させる実績も次々に出している。

 

私は、本書を読んで研修の素晴らしさに感動して、東京都内にある高山氏の事務所兼自宅を訪ね、お会いして直接、話を聞かせてもらった。この本では、研修のノウハウをすべて開示しているということで、どうりで迫力があるわけだ。

 

高山氏によれば、お受けし切れないほどの研修依頼が殺到し、「もうマネでも何でもしてくれ!」という気持ちで、本書執筆に臨んだそうだ。名だたる大手企業(もちろん東証一部上場)が高山氏を招き、研修で大きな成果を上げている。だから次々にリピーターとなるのだ。

 

高山氏の研修は、経営学の「古典」を読み込んで、いかに自分の会社で活用していくか、という実践的なもの。まずは、経営学の名著を読み込むことが課題となる。スパルタ式の厳しい研修に皆戸惑い、音をあげる社員も多い。

 

とくに、推薦書として必ずテキストになるマイケル・ポーター『競争優位の戦略』(ダイヤモンド社)は難解だ。ほかにもビジネスに役立つ経営書の紹介が満載だ。経営陣の一角を担う企業の幹部社員にとって必読の書と言えるだろう。