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語源から英単語6000語を覚えられる名著

英単語の記憶は誰でも苦労した経験があるのではないでしょうか。とくに大学受験に挑む高校生、浪人生の学生たちはさまざまな工夫をしていると思います。

 

また現代のビジネスパーソンはグローバル化する企業環境の中で「英語力」の養成、とくにTOEICスコアをアップさせるために英語の語彙力を短期でつけることを求められている人も多いでしょう。

 

そうした英単語を記憶するニーズのある方にぴったりの「名著」が文庫本として復活しました。この本は時代を超えて英語学習者に支持される英単語の「古典」といえる存在で、本日紹介するのはこの本です。

 

岩田一男『英単語記憶術 語源による必須6000語の征服』(ちくま文庫)

 

この本は、初版が何と1967年(昭和42年)3月に光文社のカッパ・ブックスの一冊として刊行されました。現在ではあまり使われなくなった表現や語句などもありますが、著者が故人であり、本書の時代的背景も鑑みて刊行時のままとなっています。

 

今回48年ぶりに復活して文庫本として出版されたのは、英単語本としてのコンセプトが時代を超えて色褪せることなく、むしろ輝きを増して現代という時代に求められているからだと思います。

 

その「コンセプト」とは、6000の必須英単語を250の家族に分類して記憶するという、語源からのアプローチです。見開き2ページを一家族という形で整理し、各ページの冒頭に、その家族の中で誰でも知っているやさしい単語を太字で示しています。

 

例えば、river(川)rival(競争相手)arrive(着く)は同じ語源から来ています。riverの両岸で魚を取り合ったのがrivalだし、arriveはそもそも「川岸に着く」という意味でした。

 

つまり代表的な250単語の語源(=本来の元になる意味)さえ覚えておけば、6000単語の意味が類推できるということです。この本の構成は以下の4部構成になっています。

 

1.語根による記憶術
2.接頭辞による記憶術
3.接尾辞による記憶術
4.人名・地名などによる記憶術

 

この中で圧倒的にボリュームが大きいのが「語根」による記憶術です。実例として、代表的な語根の意味を以下に少しだけ紹介します。

 

1.art (芸術)
2.ball (舞踏会)
3.brief (簡潔な)
4.centre (中心)
5.cure (治癒)
6.part (分ける)
7.sense (感覚)
8.stand (立つ)

 

これらの語根について、1および6の家族のみ、以下に紹介していきます。まず1のartは、以下の通りです。artには、芸術・技術のほかに「二つのものをつなぎ合わせる」という意味があり、articulation(関節)などの語が生まれました。

 

artful(技術的な)、artless(無邪気な)、arttificial(人工的)、artistic(芸術的な)、artisan(工匠)、article(品物)、natural(自然の)、national(国民の、国家の)、innate(生まれつきの)などです。

 

次に6のpartは以下の通りです。partは「分ける」という意味のラテン語partireからできました。動詞では「分ける、分かれる」、名詞では「部分、割合」となり、芝居の役も「全体の中の部分」です。

 

partial(部分的な)、partiality(不公平)、particle(微粒子)、particular(特別な)、partake(関与する)、participant(参加者)、participle(分詞)、partisan(党派)、partition(区画)、partner(相手)、apart(分かれて)、compartment(仕切り)、depart(去る)、department(部門)、portion(分けまえ)などです。

 

これだけの事例があれば十分、理解いただけたのではないでしょうか。こうした「家族」分類が全部で250あります。それぞれに付随して計6000単語が習得できる仕組みになっています。

 

単語帳をただ順番に丸暗記する方法と比べて、記憶に定着しやすく、且つ知らない単語に出会っても類推できるスキルが身に付くことがわかるでしょう。

 

普通の英単語帳や辞書と比べて、気が向いた時にリラックスしてページをめくることができるのが、この本のいいところです。さすが時代を超えて読み継がれてきた「名著」、「古典」です。

 

私は文庫本を手に取った瞬間にビビッときたのですが、英単語の習得を目標にしている皆さんも、ぜひ一度この本を手に取ってみませんか。

 

では、今日もハッピーな1日を!