書評ブログ

藤田晋『渋谷ではたらく社長の告白』(幻冬舎文庫)

藤田晋氏は我が国の勝ち組IT企業の1社とされるサイバーエージェントの創業社長。青山学院大学を卒業後、人材派遣会社インテリジェンスのトップ営業マンを経て独立・起業した。

 

2000年に東証マザーズに上場、26歳で史上最年少の上場企業社長となった。本書は、インターネット広告代理店・サイバーエージェントの起業や成長の舞台裏を赤裸々に綴った半生記だ。

 

ライブドアの前身だったオンザエッジの堀江貴文社長とのビジネス・パートナーとしてのエピソードや、楽天の三木谷浩史社長との関わりも登場する。ITバブル崩壊時には株価暴落など苦難も経験した。

 

また、私生活でも女優・奥菜恵と結婚するも約1年半で離婚。その間のバッシングに対する思いなども赤裸々に述べている。若くして上場まで成し遂げたIT長者として、何かと外部から叩かれることも多かったようだ。

 

そうした苦労や企業経営に対する真摯な思いを率直に述べている本書は多くの若者の支持を受けた。スマートにITビジネスで成功したように見えたサイバーエージェントも実は、綱渡りの困難を乗り越えて成長してきたのだ。

 

インターネット業界は変化が激しく速い。昨日の勝ち組が、明日は倒産や撤退の憂き目を見ることも珍しくない。つねに革新を起こし続けなければ淘汰されてしまう厳しい業界で、著者はいつも未来を見据えている。

 

多くの若者に希望と勇気を与える良書として、ぜひ一読を薦めたい。