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皆神龍太郎『i Pad でつくる「究極の電子書斎」』(講談社+アルファ新書)

皆神龍太郎氏は、超常現象をつねに懐疑的な視点から調査する活動を1980年代から行っている。疑似科学ウォッチャーと自称する科学ジャーナリストだ。

 

本書は、米国発で何度も電子書籍が唱えられながら一向に普及しない現状に鑑みて、それならいっそのこと自分で書籍をスキャンして、電子書斎を作ってしまおうという本だ。

 

本書が書かれた2010年までは確かにそうした状況だったが、その後アマゾンがキンドルを発売する中で、今や電子書籍が凄い勢いで広がりつつある。但し、著者は苦節9年で1万冊のスキャン文庫を持ち歩く強者だ。

 

書籍のデジタル化、すなわちスキャン文庫の作り方は以下の手順。まず、三種の神器として、①パソコン、②スキャナー、③ハードディスクを用意する。その上で、以下の3つの手順を踏む。

 

1.書籍の準備
2.書籍の裁断
3.スキャン

 

最後にファイルの名前づけをして整理すれば終了だ。作業はきわめて単純だ。

 

キンドルが日本語対応していなかったり、i Pad が容量が小さすぎて持ち歩ける本の冊数が少な過ぎることに不満を持った著者は、みずからスキャン文庫を作ることで不満を解消した。

 

ただ、IT技術の進歩から、誕生当初にあった電子書籍に対する不満や問題点は現在ではほぼ解消されている。とくにアマゾンのキンドルはクラウド上の自分専用書庫に何冊でも保存が可能。

 

端末で持ち歩く冊数も増えているが、持ち歩かずとも、WiFi が来ていればいつどこでも端末に本を呼び出せるので、保存容量は無限大で一生ものだ。クラウドの凄さだ。

 

本書を読めば、現在のIT技術の進歩が実感できる。電子書籍を理解する一冊として本書を薦めたい。