書評ブログ

斉藤淳『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(中径出版)

斉藤淳氏は、上智大学外国語学部を卒業後、イエール大学大学院で政治学の博士課程を修了。その後、イエール大学助教授として教鞭を執っていた。

 

そのまま米国に残って、教授や研究者の道もあったが、イエール大学での英語教授法を日本に広めるために帰国し、現在は英語塾である「J Prep 斉藤塾」の代表として、中高生の英語教育に情熱を傾けている。

 

本書は、斎藤氏がイエール大学大学院にて研究を行うかたわら、英語習得の指導を受けた経験を通して、日本人の英語習得方法に無駄が多いことを痛感して「最短ルート」の英語習得法を伝えたものだ。

 

イエール大学では、非ネイティブの留学生が多数、在籍しており、彼らはイエール大学方式の語学習得法にて、短期間で外国語をマスターしていく。

 

その習得法のエッセンスは以下の通りだ。

 

1.正確な英語の発音を身に付ける
2.語彙は映像と結び付けて記憶に残す
3.英語を学習の目的にするのではなく、英語で興味あることを学ぶ

 

要約すれば、①正確な発音によるスピーキング(音読)、②瞬間的に映像が浮かぶ反射神経を持った語彙修得、③英語による興味ある書物の徹底的な多読、の3ステップだ。

 

実は、この習得法は英語マスターのための王道であり、表現法は異なるが、多くの英語指導者が発信しているものとほぼ共通する内容だ。

 

本書では、その習得法を実行するために適した教材も紹介していて参考になる。詳しくは本書をお読みいただきたいが、代表的なものを以下に挙げておこう。

 

1.関正生 『世界一わかりやすい英語の発音の授業』 (中経出版)
2.竹内真生子 『DVD付 日本人のための英語発音完全完全教本』 (アスク)
3.Bill Bliss ほか 『Word by Word Picture Dictionary 2nd Edition 』 (ピアソン)
4.大西泰斗ほか 『一億人の英文法』 (東進ブックス)
5.吉田研作ほか 『完全改訂版 起きてから寝るまで英語表現700』 (アルク)
6.Mankw 『Principles of Economics 』 (センゲージ・ラーニング)

 

また、著者は動画を活用して英語を習得する方法を薦めている。BBCなどの英語ニュースや「Friends」などの米ドラマDVDなどは絶好の教材ということだ。

 

本書は、英語学習者に大きな反響を起こし、改めて英語学習法を見直す人も増えているという。イエール式は約1年間という短期間で、外国語をひとつマスターしてしまうそうだ。

 

日本の英語学習者やグローバルに展開する会社のビジネスパーソンに、ぜひ本書の一読を薦めたい。