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小林弘人『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』(PHP新書)

小林弘人氏は、株式会社インフォバーンの代表取締役CEOで、大前研一氏が学長のビジネスブレイクスルー大学の教授だ。

 

雑誌 『ワイアード』 や 『ギズモード・ジャパン』 など、紙とWEBの両方で新しい媒体を立ち上げていることで有名だ。大前研一氏によれば、本書は 「フリー」 などの潮流を見通してきた著書による新・ウェブ進化論だ。

 

とてつもなく速い速度で社会の常識を塗り替えていくテクノロジーと、それらをつなぎ合わせるインターネット。インターネットが誕生した頃は、現実世界がこれほどまでウェブに依存すると予想できた人はいなかった。

 

そして今や、現実世界の方がウェブの中で起きている 「潮流」 をつねに後追いしている状況だ。これからは、リアル社会がウェブの中で培われた思考様式や心理状態を模倣していくことになるだろう。

 

本書の重要なキーワードは、「社会はウェブをコピーする」 ということだ。だから、我々は経済や人間の感情などを含めた様々な事柄をネットの中で俯瞰することによってこれからの社会の道を照らすことができるようになる。

 

現代は情報が価値を生む時代であり、世の中の先を予測し、正確に読む者だけがグローバル競争におけるビジネスの勝者になっていく。ネットの中で起こっていることから目を背けることはできない。

 

本書によれば、これからウェブで起こることは 「人間中心主義」 に向かっていくことだという。そして常識の通じない時代を行く抜くために、以下の7つの視座が重要だと説いている。リアル社会にこそ、「ウェブ的思考」 を持ち込もうということだ。

 

1.失敗をしよう、失敗を許そう
2.新しい 「希少」 を探せ
3.違うもの同士をくっつけろ
4.検索できないものをみつけよう
5.素敵に周りの人の力を借りよう
6.アイデアはバージョンアップさせよう
7.ウェブのリアリティを獲得しよう

 

インターネットの歴史とIT先進国の米国で起きている最新のウェブ動向や潮流を熟知している著者ならではの未来を描く書となっている本書を、すべてのビジネスパーソンに推薦したい。