書評ブログ

四角大輔 『自由であり続けるために20代で捨てるべき50のこと』 (サンクチュアリ出版)

四角大輔氏は、レコード会社のアーティスト・プロデューサーとして活躍し、7度のミリオンセールス、CD売上累計2,000万枚を達成した。

 

レコード会社勤務時代から、ニュージーランドでの自然生活に憧れ、15年間の準備期間を経て独立し、理想のライフスタイルを実現した。現在は、ニュージーランド湖畔と東京を拠点とし、大自然と都市空間を往来するノマドライフを送っている。

 

クリエイティブ、アウトドア、ニュージーランド関連企業のアドバイザーなど多様な事業を行い、趣味の登山やフィッシングでも仕事を創出しつつある。

 

レバレッジ・シリーズのベストセラー作家でハワイと日本のデュアル・ライフを実現した本田直之氏や、プロ・ブロガーでノマドワーカーの立花岳志氏、SNSによる情報発信でフリーランスとなった安藤美冬氏など、四角氏のノマドライフに影響を受けた起業家は多い。

 

それだけ、大活躍していた職やポジションを潔く捨てて、理想のノマドライフを実現した著者の生き方が大きな共感を呼んだのだろう。フランスの知性と呼ばれ、歴代の仏大統領のブレインとなった経済学者ジャック・アタリ氏が 『21世紀の歴史』 で予測した通り、ノマドが世界を変えつつある。

 

四角氏が本書で伝えているメッセージの主要なものは以下の通りだ。私が感銘を受けたという基準で整理したい。

 

1.できる限りモノを捨てて身軽になる
2.ストックという概念を捨て、自由になる
3.ワクワクする仕事に集中する
4.他人が作った時間に縛られず、自分で作る時間で自由になる
5.睡眠の質を上げ、太陽のリズムで生きる
6.必要な勉強だけする (四角式ミニマム英語学習法)
7.人脈は深く分かり合える仲間に絞り、孤独に慣れる
8.拠点を変えるほど発想力は上がる
9.ポジティブな逃げ道を作っておく

 

著者が本書全体を通して書いているのは、生活スタイルをできるだけスリムにして、来るべき理想のノマドライフに備えよ、ということだ。モノを捨ててできるだけ身軽になって、失うものを少なくしておくことが大切だ。

 

思い付きで独立するのではなく、時間をかけて周到な準備を重ね、生活の質を極限まで落としてみて恐怖を軽減していく。やりたいことを実現するためのライフスタイルでは、当初の収入ダウンは避けられない。

 

その恐怖に打ち勝って、クリエイティブな仕事からの収入が安定するまでは、どんな形でも生活できるという確信が必要だ。ノマドライフという自由な生き方を目指す全ての起業家に、本書を最良の教科書として推薦したい。