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中沢康彦『星野リゾートの教科書』(日経BP社)

005094_li軽井沢の老舗旅館から、日本各地でリゾートを運営する企業へ飛躍した星野リゾート。その成長の背景には、星野佳路社長が実践した「教科書通りの経営」がある。

星野社長は、「教科書に書かれていることは正しく、実践で使える。」と言う。経営学の教科書は、書店には一冊しか置かれていない、堅い本であることが多いが、そうした本こそ、長い年月の風雪に耐えて読み継がれている。

 

本書は、星野リゾート4代目社長の星野佳路氏が経営学の教科書として、事業経営に活用した古典的な書籍と、その活用方法を具体的に解説した画期的な本だ。とくに実践事例がリアルに述べられているところは、経営者にとって非常に参考になる。

 

経営学の教科書として紹介されている主な書籍は以下の通り。古典と呼んでもよい経営学の名著が並んでいる。

 

1.マイケル・ポーター 『競争の戦略』
2.フィリップ・コトラー 『コトラーのマーケティング・マネジメント』
3.Fred.Crawford ほか 『The Myth of Excellence』
4.ヤン・カールソン 『真実の瞬間』
5.ドン・ペパーズほか 『One to One マーケティング』
6.David・A・Aaker 『Managing Brand Equity』
7.ジェームズ・コリンズ 『ビジョナリー・カンパニー』
8.ケン・ブランチャード 『1分間 顧客サービス』
9.ケン・ブランチャード 『1分間 エンパワーメント』
10.内村鑑三 『後世への最大遺物 デンマルク国の話』

 

星野社長が採用した経営戦略は、ターゲット顧客の絞り込みを徹底することだったり、サービスを徹底することだったり、運営する施設ごとに最適の戦略を考えて実行している。

 

教科書通りに実行することは、経営判断のリスクを減らすことになり、自信を持って経営判断ができることにつながる。たとえ結果が出るまでに時間がかかる場合でも、経営がブレないことが成功に繋がるという。

 

推薦書として挙げられている経営学の教科書は、主に米国でMBA取得の教科書に使われている古典的な名著で、10~20年単位で読み継がれ、変化する時代の風雪に耐えて通用する理論ばかりだ。

 

経営者はもちろん、全ての経営幹部、管理職の方に読んでほしい一冊だ。また、上記に挙げた星野社長が読み込んで経営の実践で活用した古典的名著10冊も、ぜひ手に取ってもらいたい。