野村尚義『これだけ!プレゼンの本質』(すばる舎リンケージ)

2014.03.16 (日)

野村尚義氏は、上場企業のトップマネジメントや中小企業社長、独立コンサルタントなど、民間から行政まで10年間で計12,000人に教えたプレゼン指導の専門家だ。

 

クライアントも気付かないメッセージの価値を引き出す手法には定評があり、数多くのビジネスコンペ連戦連勝のプレゼンターを輩出している。

 

リンカーンからスティーブ・ジョブズやオバマまで、歴史的演説家や上位1%の現役トップ・プレゼンターのプレゼンを分析し、選ばれ続けるためのプレゼンテーション戦略を体系化した。

 

本書は、「ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略」と名付けた、トップ1%のプレゼンテーション戦略のメソッドを紹介したものだ。本書の特徴は以下の2点だ。

 

1.プレゼンを話し方のテクニックではなく、「戦略」 として捉えていること
2.著者ひとりの成功事例ではなく、数多くの成功事例と失敗事例の分析をベースに構築した体系であること

 

つまり、本書は 「選ばれ続けるトップ1%のプレゼンターの戦略思考を盗み取る本」 だ。数多く世に出されているプレゼンのための指導書、啓蒙書の中で私が自身のプレゼンを行う際に最も参考にしている珠玉の書だ。

 

「ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略」とは、以下の3つの要素から構成される。

 

ステップ1 : コンセプト設計 (価値を深堀りする) = ダイヤモンドの原石を探す

ステップ2 : シナリオ設計  (表現を磨く) = ダイヤモンドを磨く

ステップ3 : スタイル設計  (メッセージを届ける) = ダイヤモンドの指輪を手渡す

 

この中で、著者は最も大切なのがステップ1のコンセプト設計だと述べている。前プロセスでの失敗は後半のプロセスでは取り戻せないからだ。

 

選ばれるために絶対に欠かせないのが「価値あるコンセプト」「分かりやすさ」なのだ。つまり、選ばれるプレゼンテーションには、「価値あるコンセプト」「分かりやすさ」が必ず存在するということだ。

 

では、コンセプト設計のポイントは何か。本書では、価値を深堀するカギは以下の4つだとしている。

 

1.バリュー
2.ターゲtィング
3.ポジショニング
4.コンセプトフレーズ

 

まるでマーケティングの教科書のようだが、実はプレゼンの本質はマーケティングと殆ど共通するものかも知れない。すべてを解説することはできないが、とくに「バリュー」のところに書かれている「三次元分析法」は本書最大のポイントだ。

 

それは、価値は①機能レベル、②効用レベル、③未来レベル3つの次元があるということ。見ている視点で価値は変わり、その差は次元の違いを生み出す。

 

プレゼンターの80%は機能レベルの価値をアピールし、20%弱が効用レベルの価値を訴える。残り1%のトップ・プレゼンターだけが未来レベルの価値を語るので、選ばれ続ける結果になる。

 

機能レベルとは製品のスペックを説明すること。効用レベルとは、製品を使ったら自分(自社)にどんなメリットが生じるかを解説すること。最後の未来レベルとは、製品を使うことで自分(自社)の未来がどんな姿に変貌するかをイメージが浮かぶように提案すること。

 

顧客は、製品の特長や現在のメリットだけを聞いても、他社との明確な差別化を認識できない。結果として不毛な価格競争に巻き込まれることになる。

 

一方、未来につながる価値を理解できれば、それは顧客にとって驚き、感動であり、その提案を受け入れざるを得ない状況になっていく。選ばれ続けるプレゼンというのは、「未来レベルの価値」を伝えるものだ。

 

この後も、プレゼンの本質に繋がるエッセンスが次々出てくるが、あとは本書をお読みいただきたい。最後に1つだけポイントを紹介すると、コンセプト・フレーズという、短く分かりやすい言葉で伝えることが重要ということだ。

 

未来レベルの価値はダラダラと説明しては伝わらない、小泉純一郎元首相やバラク・オバマ米大統領の演説にある「ワン・フレーズ」で伝えることがポイントだ。

 

ビジネスや学会などでプレゼンテーションを行う全ての人々に本書を心から推薦したい。

 

 

 

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